2012-2013釧路ロータリークラブ　第35回（通算3257回）例会

会長の時間

会長挨拶　伊貝　正志　会長
　皆さんこんにちは。今月はロータリーの識字率向上月間という事でお話しします。
　先月の24日日曜日、タイに行った人たちがお世話になった中標津ロータリークラブの笹谷先生にお礼をということで一席設けてさせていただきました。その時に国際奉仕委員の船木委員長、邵幹事、土橋副幹事、それと小船井パストガバナー、私と笹谷先生の６名とで開いた訳ですが、あのようなかたちで水の浄化装置を贈る、そういう物を与える、寄付する、それはそれで素晴らしいことではあるが、ただそこの国が成長、発展していくためには教育が何よりも重要と、それで識字率の話に結びついていく訳ですが、確かにカンボジアに行った時に、この国民は字を書いたり読んだりということがどの程度できるか考えさせられるような雰囲気でした。そこで文盲の子ども達に読み書きができる教育をするために、まず本を与える前に教育する教師の養成、そこから始めなければいけない。そのあとはホームページで実際に動いて書かれたものではありますが、低所得者の国の、中学高校教師の31％は教師自身が教育を満足に受けていない、そういう状況だそうです。ですから教師の教育から始めなければ識字率向上へは向かっていかないということでした。7,500万人の子ども、それから16歳以上が６億7,700万人の人たちが読み書きできないという統計数字です。世界人口が71万人ということですから、約10％の人たちがそのような状況にあるということです。今、現在行っている集中言語能力助長プログラム、ＣＬＥというそうですが、これが非常に大きな成果を上げているそうです。ブラジルや各アフリカなどの途上国の中でそのような教育方法があるそうで、そのようなところに我々の財団のお金が使われているというようお話でした。そのようなかたちで途上国を真に応援するのは、識字率向上という側面を見直さなくてはならないという感覚を、現地のカンボジア、タイを回った実感として感じております。今日はそのようなことで会長挨拶といたします。


退会挨拶
北海道電力釧路支店長　　土田　哲也
　皆さんこんにちは。実は私、今月末日を持ちまして、諸般の事情によりこの歴史と伝統のある釧路ロータリークラブを退会せざるを得なくなりました。私が入会いたしまして１年９ヶ月になりますが、短い間、皆様方のご指導、ご協力をいただきまして、何とか釧路クラブのロータリー生活を過ごすことができました。今年度に於きましては親睦活動委員長という重要な役割も担わせていただきまして、その上では皆さんと尚一層、親睦を深められる立場で本当にありがたかったと思っております。
　釧路を離れる訳ではございませんので、色々な場面でこの釧路ロータリークラブの皆様と顔を合わせる機会が多々あるかと思います。そのような中で今後とも皆様方とお付き合いをさせていただきますし、ご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。本当に短い間でございましたけれども、ありがとうございました。

本日のプログラム

釧路市副市長講話

プログラム委員会　　村田　哲久　委員長

プログラム委員会です。本日ご講話いただきますのは釧路市副市長の小松正明様です。本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。
小松副市長様は2010年６月に着任されまして、当ロータリークラブでは昨年の３月にもご講話をいただいております。皆さんもご存じと思いますが３月末にご退任予定ということで、正にあと数日後ということでございます。そのようなこともあり、本日は釧路市の２年９ヶ月を振り返ってというテーマでお話しをいただけるということであります。お手元の方にメモ、『釧路のマチのコト語り』、今回出された本のタイトルと同じです。こちらを是非ご利用いただきたいと思います。それではよろしくお願いします。


『釧路市の２年９ヶ月を振り返って』
釧路市副市長　　小松　正明　様

改めましてこんにちは。ご紹介いただきました副市長の小松でございます。副市長と名乗れるのもあと４日ばかりとなりまして、大変心名残惜しい数日間を過ごしております。去る25日に市議会の中でも新しい副市長の人事案が承認されたということです。自動的に３月31日付けをもちまして退任、４月１日からは北海道開発局の方に戻りまして、自宅のある札幌で自宅からの通勤が可能という身分になります。ずっと単身生活が長かったものですから、久々に我が家から通える、ある意味温情のある人事だったかと思っておりまして、釧路市民の皆様には今ここ何日かは挨拶回りを繰り返している訳ですが、会う人ごとに「いなくなって寂しい」というお声を聞く度に、２年９ヶ月は無駄では無かったと思っております。
　このように私どものような単身赴任生活は「まだいるのか」と言われるよりは「いなくなって寂しい」というくらいがちょうど頃合いかというところもあり、いずれにしても議会任期は４年ありますけれども満期まではいられないだろうと思いながら、２年か、３年かと自分の中で何となく締め切りを設定しながら勤め上げた中の２年９ヶ月というかたちになりました。３年前の７月１日に辞令をいただきましたので、ちょうど２年９ヶ月の副市長任期ということでございます。
　今日はそのような意味で本当に貴重なお時間をいただきながら、私のこの３年を振り返る、良い機会のお仕事をいただいたと思って感謝しながら参りました。お手元にレジメのようなものを用意させていただいておりまして、４点ほどテーマを設定しました。「釧路市に２年９ヶ月いて釧路市をどう思うのか」と本当によくあちこちで聞かれますが、在任期間でやはり１番の印象的な思い出は３.11の津波の襲来でございました。
あの時は蝦名市長ともう１人いる松浦副市長と３人で、ちょうど金曜日の午後でしたけれども、市長室で打ち合わせをしている最中にグラッときた。「地震だ」と言いながら、それほど震度がガガガっと揺れた訳ではなく、結果として震度３くらいでしたからそういうものかなと、大したことは無い地震だと思ったのですが、とにかく揺れる時間が長くて３分ほど延々と揺れていましたので、蝦名も「船酔いになった」というくらい、何時までも何時までも揺れているという感じでした。ただ事では無いということでテレビを付けたところ、すぐに大津波警報が発令、『大津波警報がある』と初めて知りましたけれども、あの時は一瞬６ｍ以上の津波が釧路を襲うという予報になっておりました。これはただならぬということで、様々な放送が流れ、避難いうかたちになりました。結果として釧路の場合は２.１ｍ、入舟含めてＭＯＯの界隈が浸かるという程度で済みましたが、ＴＶでご承知のように三陸方面各所の大惨事だったということで、ＴＶからの生々しい映像を見てやっとの思いで市民が少し避難を始めたということがありました。
　３.11前と３.11後というのは、多分今後歴史的に語られる１つのタームになるのではないかと、二次大戦前、二次大戦後というような歴史がこの日本の中にあるとしたら、同じくらいこの３.11前と３.11後というのは社会の構造が変わるのではないかと、おそらくそういう節目の日ではなかったかと思います。釧路ももちろん例外ではなく、昨年の６月には道庁で、これまで釧路には500年津波が来るということでハザードマップも作っておりましたが、改めて国の方で来る最大の津波、ちょこちょこと来る当たり前に来やすい津波というこの２種類を設定しようというのが新しい津波の発生の考え方になりました。それまでは500年津波、500年に一度このくらいの津波が来るということだけでハザードマップでお知らせしたのですが、多分最大でこのくらい来る、市役所界隈でも８ｍくらいの津波が来る可能性があるという最大の数値と、それからちょこちょこと、２ｍくらいのは100年に１度くらい来るのだという２種類の津波で、有事の際の避難計画、それから有事の際の小さな津波は施設で何とか押さえようというような街づくり、そしてさらに有事の際だけではない、その一方で我々は平時の際にちょっと疲弊している街をどのようにコントロールしていくのかということで、常に津波が来たらどうするのか、折角の土地を新しくするプロジェクトを津波の避難からどのように考えるのかというようなことを、常にこれから頭に入れなくてはいけない。そうした中で街づくりをしなくてはいけない街なのだということを改めて思い起こさせてくれたのがあの３.11だったという訳であります。
そのような意味で私どものような単身赴任のものは在任期間中に大きなものが来なくてよかったという程度で済む訳ですが、ずっと地元でこれからお暮らしになる皆様方において、家を本当にそのことで建て替えるのかどうか、あるいはオフィスを今度の建て替えの時に他へ移すのか、様々なことを巡らせて、多分今すぐどうこうではなく次の建て替えの時、ということは30年後か40年後か50年掛けた中で街のありようというのを考えていかなくてはならないのではないかと思います。そのようなことも街づくりの一環としては考える訳で、釧路に大きな課題が降ってきたというのが正直な気持ちであります。
　その一方でいざという時の災害の問題もありましたけれども、やはり平時においては財政が非常に問題であります。来た早々に財政再建プラン、健全化プランということの説明を受けて市役所全体の経費を抑え、さらに市民の皆様にも色々なご負担をいただくということで、来た早々に何か「申し訳ありません」と市民の皆様にあちこちで謝っていた記憶が今も蘇るのですが、そうした中で何とか山積していた処理、問題も立て直したこの２年半というかたちでありました。これほど地方財政は厳しいのかというのも改めて知りましたし、コンパクトシティというような、どんどんと市街化区域を広げてしまってバスも不便、買物も不便、街中もちょっと衰退、こうしたことをこれからどう改善していくのか、様々なことがこの街にはあるというのが、本当に地方都市の経済、現状の厳しさ、それを副市長という立場で日々嫌になるほど知らされる毎日でありました。
　ただ一方でおそらく全日本、オールジャパンの地方都市はそのような苦しみに多かれ少なかれ遭っているのだろうなと思いながらも、釧路にこの在任期間いただけでも良い話が多々ございました。１つはタンチョウを台湾に贈ることができました。ちょうど２年前の台湾建国100年の記念の年でありましたけれども、日本のタンチョウが欲しいという台湾側からのたってのご希望に応えるかたちでタンチョウを２羽、ビッグとキカというペアを台北動物園に贈ることができました。結果、ただでさえ台湾は親日なお国柄ですけれども、その台湾の中の首都、台北市の動物園に釧路のタンチョウが行ったということで、台北市にとっての釧路というのは向こうにとって恩のあるという都市ということで、私どもの街が売り込みに成功しているのであります。ちょうど11月に向こうで調印式が行われましたが、それに先立つかたちで私も８月に先遣隊として台北市にお伺いしまして、「今度ビッグとキカが来るのでよろしく」と関係各方面にご挨拶をさせていただきました。
その時に震災後すぐに駆けつけて下さった台湾立法院長の王金平（おうきんぺい）先生がいらっしゃって、この方は震災で日本中が『放射能だ、地震災害だ、今観光に行く国ではない』ということで『どよん』とした中で、もう真っ先に北海道札幌に訪れ、その足で「釧路の鶴が見たい」と釧路へ訪れてくれました。そのような姿で300人の報道陣を連れてきてくれたので、「王先生が行って鶴を見たくらいだから大丈夫なんだ」ということで、安心をして台湾の観光客が急速に戻ってきました。そのような恩義がありますので、その機会に、とてもお会いできる方ではないのですが、折角お伺いするので御名刺とお土産だけでもとお願いしましたら会って下さるということで、30分の予定でしたが結果45分もお目にかかれて、大変和やかにお話しすることができました。こんな弱小、若輩者が王先生にお会いできた、そして台北市のハオ（?龍斌）さんという市長さんなのですが、この方にもお会いすることができました。今、こいつに会っておかないともしかしたら鶴を引っ込めるぞと後ろに隠しながら行った訳ではないのですが、わざわざお会いをしていただいて、後々ハオ市長に「直接お会いできた日本人は本当に数えるしかいませんよ」と言われました。そのくらい鶴がいた街に対するきちんとしたおもてなしをしなくてはという、台北市の皆さんの印象に残っている訳であります。
タンチョウというのは、我々にとっては道路を走っているとその辺にいて、「またいる」と。別にもう停めて写真を撮るほどにもならなくなって私も「随分ジモティだな」と感じますが、あの存在がどれほど釧路という街の名前を国際的に高らしめたかということを考えますとものすごく価値があることだと改めて知った訳であります。今後もこのような繋がり、今日は清水先生もいらっしゃって、共に日台親善友好協会などもしましたが、着実に世界一の親日国家台湾とこの地域の繋がりが増えております。そうしたことがタンチョウとの繋がりの中で、この釧路市というものが日本に数多ある都市の中で台湾にとって非常に枢要な街になったということ、大変喜ばしい出来事だったと思います。
　また、阿寒湖のマリモ。世界自然遺産は不動産ではないといけないので、マリモという植物は世界遺産にはならないのですが、あのマリモを球状に育む阿寒湖を世界自然遺産にということで、今、一生懸命動いております。これも今色々なご縁があって、知床も登録されましたし、小笠原諸島も登録されましたし、沖縄も登録されているのですけれども色々ごたごたがあって上手く行かないので次なる候補を探せということの中で、どうもその後研究が進んでいるのは阿寒湖くらいではないかというので、少し頑張ってみたところ案外国内候補地の中を勝ち抜けそうな感じになってきていて、こうしたこともこれからの、今まで先だって一生懸命育んできてくれた遺産を上手に使いながら、地域の価値としてこれから進めていくのが我々の仕事かと思っております。
そのような意味でともすると、地元にいるとあまりに見慣れてしまって、多少、その価値、良さが分からなくなってしまったものを、改めていかに凄いところに皆さんがいるのか、私たちが住んでいるのかということの気付きを教えるというのが、多分余所から来た私のような者の立場なのではないかと思いました。
　私ももう転勤生活が長くて、だいたい２年か３年であちこちに行く訳ですが、そのたびにその地域の財産はどうなのか、地元に長く住まわれる方と余所から行く人間の意識の違いというのを常々感じていたのですが、まして単に、例えば開発局の職員で転勤するのではなく、釧路の中に副市長として入り込む中に、職員に対する勇気づけ、動機付け、あるいは市民に対する情報発信というものを思ってするのが、多分一定の役割をいただいた私の立場なのだろうということで２年９ヶ月大いに走り回って参りました。私のこれまでの転勤先のネットワーク、これまでの経験、知識、考えてきたことなど、すべて２年９ヶ月の中にも発揮したつもりでありまして、実はあまり大きな声では言えないのですがネットワークが一番効いたと思うのが、今、市役所の裏に建てようとしている防災安全街づくり施設。それを今「津波があっても電気やデータがやられてはいけない」ということで第二庁舎的に建てようとしていますが、あれなども実はちょうど本庁でそのような街づくり防災交付金というのがあってそれに当たらないかと持ち込まれた分で、最初は延々と「知恵が必要だ」と、「おいそれと取れるものではない」と本庁の担当とやり合ったのですが、ある時に国の人事異動があって、新しい交付金の担当になった課長が、私が本庁にいた時に親しくして下さった方で、「なんだ、清水さんか。実は僕、今釧路にいるんだ。釧路で案件が上がっていると思うのでよろしく頼む」と。「小松さん釧路に行っていたんですね」ということの中で色々なお話しがしやすくなりました。その結果がすぐにそのまま直結ということではないのですが、いかに我々の仕事というのはネットワークと人脈の中で、「おい、頼むな」と言われるとなにがしかすぐ、他の数多ある中でパンパンパンとはじくのではなく、「これだけは少し気にしなければいけない」というように思っていただくところにまで、階段を他よりは段を上がれたのかなということがあって、結果として庁舎が建つことになりましたし、交付金もかなりいただけました。それにちょうど補正の追い風がきたので、事実上20億円の建物を建てるのに市民負担が０（ゼロ）、０であれだけの庁舎を建てることができるようになったのはタイミングということもありますけれども、色々な繋がりの中でことができてきたと思っていて、私がここに来た意味での何割かはあのような施設をちょうど建てる時にいたというのが非常にラッキーだったと個人的には思っています。
　津波は大変だったのですが、津波からくるそれを何とかしなくてはいけないという時に、なにか街づくりをすすめる中でほとんど負担なしであのようなものができるというところに立ち会えたというのもある意味では非常にラッキーでありました。そのような意味で持てるものすべてを出し尽くし、すべて使えるものを全部使った２年９ヶ月かと思っていて、これ以上もうなにも出ないのでお役ご免ということかなというようにすら思っていて、搾り取るものは全部搾り取ったのではないかと思っています。
　レジメの方に風土は『風』と『土』というように書きました。風土というのは『風』と『土』という漢字から成り立っていますが、私たちのような余所から来て、また余所にいってしまうようなものは風のような存在で、ひゅっと吹くとなんとなく草木を揺らし、音を立て、心を揺らすような立場でありますが、決して土になることはできません。その風を感じながら地域をよくする、しっかりと地元に根付いてこの街で活動を続けるのはやはり『土』である地域の皆さんであります。しかしながら土であるだけではなかなかものが動いていかないので、他に風が吹いて、空気を変えて、様々な情報や知識や考えをもたらすということが『風』の役割なのかと思っています。
そのような意味で２年９ヶ月、「会える人には全部会おう」「行けるところには全部行こう」「見られるものは全部見る」というつもりで、所詮２年か３年しかいないから、「今年を逃せばもう来年はいないかも知れない」「今会わなかったら次に会うことはできないかも知れない」という切迫感の中で日々を過ごして参りましたので、結構色々なところにも行けましたし、色々なものを見ることができたと思っています。それを地元の皆さんにいうとペース配分が難しくて、そんな人生を地元でしていたら、とてもペース配分が持たないので、延々とマラソンのペースで走る。我々は400ｍか800ｍくらいの気持ちでゴールが見えているのでバーッと走る。そのペースの差みたいなものも、それぞれの考え方の違いとして色々なことを言いたい放題言って参りましたが、そのようなこともあるのかと思っていただければ誠に幸いだと思います。
　私のような転勤族には２通りの生き方があるというのが僕の考えです。１つは釧路へ来て、「なぜこんな街に俺は来させられたのか、本当は東京にいたかった、札幌にいたかったのに、なぜこんな場末な街に来たのか。しょうがない。とりあえず問題を起こさないように忍耐に忍耐を重ねて早くまた戻してもらおう」というという地域での過ごし方、もう１つは「せっかく釧路に来たのだからここを拠点にして行きたいところへ行き、見たいところを見て、やりたいことをして、思い切り友だちをつくって、感じられるものは全部感じ取って帰ろうではないか」という生き方。このどちらを選択するかというのが、その後の人生を大きく左右するのではないかと思っていて、常々、後者の生き方でいきたい。見られるもの、やれること、全て味わったなかでこの街をしゃぶり尽くして帰るのだと。そうすると案外地元の皆さんも、普段漫然と過ごす中では気付かないところに、かえってよそ者の方が気付くことがあるかもしれない。そうしたところの気付きをまたお返しをする中で何か地域が化学反応を起こすというところもあるのではないかと思っています。
僕は来る前からBlog（ブログ）を１日１本、今日の出来事の中の感動の種、感心したこと、知らなかったこと、そうだったのかということをBlogで書くということを習い性にしています。今回２年９ヶ月ですが、帰る時には必ず本の１冊も書けるくらいの気持ちで日々のことを記録していくつもりで端からやって参りました。そうしたこともあり、今般、ちょうど昨日でき上がってきたのですけれども、『釧路のマチのコト語り』という本が完成しました。２年９ヶ月に亘るBlogの中から40点ほどの文章を取り上げて、全部で６章構成にしています。釧路の街の資源や釧路は毎日がリゾートとか、あるいは街づくりをもっと磨こうとか、釧路市の行政を中から見るというテーマで40本ほどのエッセイを重ねた１冊になりました。これも年末前から、４月の人事の情報があった訳ではないのですけれども、この４月に「代われ」と言われたら間に合わないと思ったので、年末年始から『もう本を出す』と心に決めて書き始め、作業に作業を重ねてやっと丸３ヶ月掛かって本になるというかたちで、何回も校正に付箋を付けては返してもらい、またチェックをして、それを５回くらい繰り返さないとやはり本のかたちにはならないものですから、なんとしても副市長の時に副市長という名前の間に本を出したいと、ぎりぎりで昨日できてきまして４月からコーチャンフォーの方に店頭に置いていただける運びにもなっています。是非、こうしたものも機会がありましたらお手にとっていただきたいと思っております。
　僕が地域を見る視点は絶対批判的に書くことはやめよう、この地域の中で頑張っている人の頑張る姿、この頑張りを伝えたい。この感情を伝えたい。このようなことを知らずに我々は日常を過ごしていたのかという驚き、発見。そのようなものをどこか温かい目で見て、育てるような視点を忘れないという視点で常々Blogを書いてきたのですが、その中で釧路市にはまだまだ知られていない人々の営みがたくさんあって、やはり我々自身も案外知らない。18万人の市民がそれぞれの立場で、自身の狭い世間の中で活動する限りはほとんど知らないで過ごしてしまうのではないか。そのようなことをもっとお互いに語り合う中でこのような人が、このような中で行われているのがこの釧路だということをもっともっと語り合って、この街を知ることがさらにこの街への愛着につながり、自分の愛郷心がさらに高まって、この街に対して俺は何とかしなくてはいけないという行動につながるのではないかというのが僕の思いでありまして、そのような意味で「情報発信しろ」、「情報発信しろ」と言ってきました。情報発信というのは事実を全部載せることではない、そこにどのような物語性をしっかりととらえて、物語として読んで「そうなんだ」と何か心が温まるようなでき映えになっていないと物語にはならない。そこまでしっかり加工した上で情報をあげなくてはいけないということも、自分に課した部分でしたので、そこも含めて釧路の街への見聞を修めたというかたちにしています。
　民俗学者で宮本常一さんという方がいらっしゃって、かたや柳田国男さんという方が遠野物語などで大変有名なのですが、柳田国男さんは東大の学者として日本の民俗学を高らしめた方。一方、在野で、足で稼いで地域を巡って写真を撮って、おじいちゃんの話を聞いて、そこから日本の底辺の最前線の街を民俗学として語ったのが宮本常一さん。僕はどちらかと言うと宮本常一さんの方に惹かれる部分があって、地元の人のお話を１人ひとり聞いて、『そうか、この人はこう考えているのか』『この人はこんなことを知っている』『地域にはこんなことがあるのだ』というのを自分で見聞する中でこの地域のありよう、現実の姿というのを浮き彫りにできないかとずっと思っていたのがこの２年９ヶ月でありました。
やはり釧路には様々な資源がある。涼しいこと１つとっても資源だと。魚がおいしいのはもちろんですが、夕日がこんなにきれいなのも資源だと。そのような資源性を１つひとつ気がついて、その他との違いこそ１つのエネルギーになり、他との離れ方、平均との離れ方こそ私たちの持っているエネルギーなのだと思えば、そうしたこととの違いを我々私たちよそ者はもっともっとこんなに違うのではないかということを伝えるのが仕事だろうと思いましたので、そのようなことを１つひとつ語りながら、『物語』というのがあるのですが、『物を語る』というよりは『出来事を語りたい』ので、少しひねって『釧路のマチのコト語り』というひねったタイトルにしてみました。私たちが起きていることをもっと語ろうではないか、もっと出そうではないかというのが、私のこのタイトルに込めた願いであります。
　４月から私は札幌に向かいますので釧路を離れますけれども、永遠に釧路のファンであることには変わりありません。どうか私が札幌に行っても「小松さん、釧路はこんなふうになっているよ」という情報が入ってきたときに「そうだろう、俺はその街に副市長としていたんだ、誇らしいな」と思わせて下さるような街づくりをこれからもしていただきたいと思います。釧路の名前がどんどん高まることがそこに縁のあった日本中にいる釧路出身者のどのくらいの誇りになることか。「そうだろう、俺、あそこの出身なんだ、俺は中学時代あそこにいたんだ」ということが、どのくらい釧路出身者の心の支えと喜びにつながっているか。この釧路の街を高らしめることが外にいる人たちの自信と誇りにつながることでありますし、私もここを離れた時に「小松さん、こんなことになっているんだ」と「そう、あの人も一時釧路にいたんだよ」ということが自慢になれるようにと思っております。このようなご縁をこれからも大事にさせていただきながら、お互いにお互いを高める中でよりより地域づくりにつながると本当に良いなと思っております。
　本来であれば議場やあちこちでのご挨拶、３分くらいしか私の２年９ヶ月の挨拶を語れないのですが30分にも亘って、こうした地域への願いと思いと、何かこう苦しいほどの片思いの恋みたいなものが釧路にはあって、「頼むから良い街になってくれ」という願いが私の心の中にたくさんある訳でありまして、逆に言うと「サボったら許さないからね、何をやっているんだ」という叱咤も含めて、これからは外から引き続き応援をして参りたいと思います。
釧路が皆様方のお力によって本当に素晴らしい街にどんどんなっていきますよう、遠くから、心からご祈念を申し上げてお時間が参りましたので私の最後のお話しとさせていただきます。ご静聴、本当にありがとうございました。


謝辞
会長　伊貝　正志

　小松副市長のお話はもう淀みなく、私のように“つっかえること”がなく、素晴らしいスピーチで感心して聞かせていただきました。
　それで、風の如く現れて、風の如く去って行くということで、月光仮面かそれとも木枯らし紋次郎かというような印象を先ほど受けました。札幌の北海道開発局というポストだそうですが、何か釧路の事案がもしあったならば、優先的に考えていただければ幸いかと思います。
　短い間でしたけれども、釧路市民のためにずっと尽力されましたことに感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

ニコニコ献金

お名前（敬称略）	内　　　　　　　　容
大津　久幸	先週の22日に第88回放送記念日と釧路放送局開局75周年をお祝いしました。
小野寺　俊	3月25日　第三子次男が生まれました。名前は快斗にしようと思ってます。
	累計1,340,000円

一筆入魂

休み