釧路ロータリークラブ 〒085-0016 |
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2015-2016釧路ロータリークラブ 第36回(通算3402回)例会 | |||||||||||||||||||||
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会長の時間 | |||||||||||||||||||||
会長挨拶 西村 智久 会長
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本日のプログラム | |||||||||||||||||||||
『摩周の名産を育てる喜び』 プログラム委員長 委員長 境出 雅仁 会員 改めまして、こんにちは。プログラム委員の境出でございます。本日はファーム・ピープル株式会社代表取締役社長の村田さんに温泉熱を活用したマンゴーの生産とマンゴーファンド。要は宮崎のマンゴーとの棲み分けがあって、それをつくるために色々とご苦労をされて来たというようなお話しをいただけるそうです。 略歴を紹介すると、村田社長は網走出身で、平成19年にピープルという通信工事の会社を釧路で立ち上げました。その後、平成23年にマンゴーをつくるファーム・ピープルという会社を立ち上げて今に至ります。 補足ですが、先ほどデザートに付いていましたマンゴーですが、当然村田社長のご協力と、実はセンチュリーキャッスルの浅野支配人にも色々と頑張っていただき、本日提供いただいておりますので共有化させていただきます。 早速ですが、村田社長、よろしくお願いいたします。 (株)ピープル/ファーム・ピープル(株) 代表取締役 村田 光宗 様 皆さん、こんにちは。只今紹介いただきました釧路で株式会社ピープル、これは、先ほど境出支店長から紹介がありました、通信工事の会社を経営しております。あと、先ほどありました平成23年より弟子屈にてマンゴー栽培を行っています。我々に「素人がどうしてマンゴー栽培を」と色々聞かれますけれど、この中の資料に色々いきさつを簡単に書いています。 私が、ピープルを設立して今年で9年目になります。通信工事は、正直非常に利益が上がりまして、今から7年位前に国の補助金を使いまして、各市町村が特に田舎と言っては申し訳ありませんけれども、光ケーブルが網羅されていないところ、この辺でいうと弟子屈町や釧路市でも地方の方、いまの釧路町のさくら眼科の向こうの奥の方、あと根室、厚岸、色々。その時、1年半位でNTTが出す5年間位の工事が一挙に出ました。正直私の会社は社員が6人ですけれども、売り上げも1億円位いきまして、かなりの利益も上げることが出来ました。 ただ、これだけ仕事が出たということで、そのときに逆に喜んでいられないと。「これだけ光ケーブルが全て網羅されたら、ハテ、今後どうするのだろう」と「我々の仕事が徐々に減っていくのではないか」と考えました。元々、農業に興味がありましたから、この場に農家の方がいらしたら申し訳ないですけれど、畑作などは出来ませんが、「ハウスを使った農業だと我々素人でも何とか出来るのではないか」と単純な考えで行いましたけれど。さて、何を栽培したら良いのか。いま釧路では、太平洋さんの関連がハウスで野菜を作ったり、三ッ輪さんが養豚業を行ったり、建設会社さんが鹿肉など、色々と行っています。私も色々考えましたが、「いま行っている方の後追いをしても勝てない。どうせやるのであれば、北海道で行っていない栽培方法はないのか」と色々考えましたが、なかなか気付けなくて、日曜のNHKの放送を見ていると、南国の果物関係などの映像が映りまして、そこにマンゴーもありました。例の東国原さんの時に「マンゴーが非常に高価だ」と。「どうせやるのであればマンゴーで勝負したい」と思いました。でも、私の友人に「北海道でマンゴーを栽培したい」言うと、10人が10人共「バカか、お前、気でも狂ったか」と言われました。逆に皆さんそのような考えだから「よし、やってやろう」という気持ちになれました。いま考えて見れば少々反省をしていますが。実際にマンゴーの栽培を行うと言ってもマンゴーの苗木は買えるのか。誰に指導をしてもらうのか、人づてにそこから始まりました。 まずマ、ンゴーは、今までは夕張メロンのように外には出してくれませんでした。1年生苗などの小さなものは隠れて売っているところがありました。そこを紹介していただき、とりあえず600本ほど1年生・2年生の物を仕入れて来ました。これは、鹿児島で仕入れました。後は指導者ですが、なかなか見つからず何人かにお願いをしましたが「なぜ北海道にマンゴーを教えに行かなければならない」と言われました。でも、宮崎に「教えてあげるよ」と言ってくれた方がいました。そしてその方に2年間教えていただきました。 先ほど言ったように、北海道で行うと冬が問題です。弟子屈では寒いときは、氷点下25度位まで下がります。ハウスの中を常に25度前後を保たなければマンゴーがダメになります。当初は、化石燃料で行おうと思いましたが、ザッと計算をして燃料費だけで数億円掛かる。これではとても商売にならないと。やっぱり考え方を間違えていたのかと思いました。 私も温泉が好きなもので、温泉に入っているときに「ひょっとして、この温泉熱はハウスを暖めることに利用出来ないか」「ある程度の温度と湯量があれば大丈夫ではないの」ということで始めましたが、なかなか苦労がありました。 まず、土地探しから始まり、初めは釧路から近い鶴居村や旧阿寒町の赤いベレーの辺りで温泉が出る所なので、あの辺で土地を探そうかと思っていました。ある方が「弟子屈町だと温度も高く、弟子屈町長はその話が分かればバックアップをしてくれる」ということで、恐る恐る書類を持って弟子屈の徳永町長のところへ行きました。 はじめは、うさんくさい顔をしていまして、「頼まれたから聞いてやるか」という感じです。態度で分かりましたが、30分位話をしているうちに徐々に前向きになって来て「よし、分かった」と。最後に「奥さんは反対していないかい」と聞かれ、「実は大反対されています」と話をしましたら、「よし、分かった。この弟子屈の徳永がバックアップをするから、帰ったら奥さんに大丈夫だと言え」と。それで、色々と弟子屈町のバックアップをいただき、いま実際に行っている場所も弟子屈町の徳永町長に探していただいた所です。いま、やっている所に消防が今年入って来ます。「この機会に道路もファームの方まで直してあげるから」ということで、色々バックアップをしていただき非常に感激しております。 「なぜ北海道でマンゴーか」というとを先ほど大体話しましたが、中に「マンゴーは非常に難しいよ。素人がとても出来るものではないよ」と。ダメなのか、指導者もいない。指導者の話は先ほど途中で途切れましたが、宮崎の方が「教えてあげる」という話になりまして、その方から2年間教わりました。2年間、苗木に花があがっても20%〜30%しか花が上がりません。「これは失敗だ」と思い、今から2年ぐらい前に鹿児島にある農園さんの社長を紹介していただき、「教えていただきたい」と。 そのときも「なぜ、私が北海道で教えなければいけないのだ」と一度断られ、「これはもう一度行かなければ」と、2週間後に行きました。その方は、酒が好きだと分かりまして、2人で夜通し呑んで、そこでやっと「よし、分かった。教えてあげるから頑張れ」と。 その方に教えていただいてから、いま苗木の100%、花が上がります。が、その方が一番先に私の農園を見に来た時に花が20%位。「村田さん、いくらお金があるか分からないけれど、こんなことを行っていたら直ぐ潰れてしまうよ」。「そうなのです」と。 その方の教えをずっと守って行っていくと、いま100%花も付いて、年々収穫の数もどんどん増えて来ております。初めの2年間は失われた2年間でした。それで予定が少し遅れています。銀行さんにも色々ご迷惑を掛けています。やっと昨年の8月、安田さんが「やっと分かったな、これで、もう教えることはない」と言われて我々も何とか手応えを掴んだところでございます。 時間の都合もありますので。まずウチの温泉熱を使った施設を順番に。 これがいまの全景です。270u位のハウスが30棟あります。苗木が全部で1,600本位入っております。マンゴーは、やはり南国の木ですから大きくなり始めたらどんどん大きくなります。いま1,600本ありますが、あと4・5年経つと、もっと倍位のハウスを建てないと小さくなりますね。そこまで行ければ最高だと思っています。 これがいま1つのハウスの全景になっています。これは普通のハウスではなく、かなり国の補助金をいただいているので、風速45m位まで耐えられるハウスになっています。ハウスに基礎も付いていて「雪も1m位が積もっても大丈夫」と言われていますが、やはり雪は心配です。これがいま85度の温泉が常時毎分400リッター上がっています。これが源泉の小屋です。源泉で上がったものをこの温泉層で一度溜めています。これは熱源小屋の中で、これが熱交換器です。ハウスには、温泉はいっていません。ここで、温泉熱で真水を温めてあげて、その真水が各ハウスへ回っております。これが、色々配管などがあります。各ハウスに送っているパイプです。右側が熱源小屋の全体風景です。これが、各ハウスの中に6個ずつ付いています。ファンが動作してここから温泉熱で温めた暖かい空気を送っています。これが温度と湿度を常時その場にいなくても事務所のパソコンなどで管理します。私のパソコンにも異常があれば直ぐに入って来るようになっています。これはハウスの中を全自動で温度管理をしています。これで25度に温度を設定して23度位になると自動で先ほどのファンが回るようになっています。これは地下に、大きい温泉層が付いています。冬は温泉が入って、夏になると地下水が入って来ます。 マンゴーは、摂氏5度位で2ヶ月ぐらい冷やします。2ヶ月ぐらい冷やすと花芽というものが上がって来ます。ここで夏、パイプを使って冷やしています。当初は、雪を持って来て入れていました。そのような施設を創りましたが、雪だとすぐに温度が上がってします。安い機械が手に入りましたのでいま機械で冷やしています。氷点下まで冷やせる機械です。これは電源など電気設備です。これが、昨年の12月にウチで出来たマンゴーです。一応雪の中で撮影を行っています。 ここからマンゴーの成長課程を説明したいと思います。よく見えないかも分かりませんが、向かって左側、これが葉っぱ。葉っぱのことを“葉芽”と言います。花は“花芽”と言います。葉芽と花芽が一緒に上がって来ます。ほったらかしにしておくと、やはり葉っぱの方が強いので、元気なマンゴーが出来ません。1つ1つ、何万と出来ますが、1本1本葉っぱを途中で切ってあげます。そのうちこの中から右側にあるこれが花です。花が30p位まで高くなります。一応7・8千個位の花が付いて来ます。これが、満開になった花です。なかなか皆さんマンゴーの花を見ることはないと思います。このときに蜂を放して、受粉した青く小さい花が見えると思いますが、受粉したものがマンゴーの子どもになって出て来ます。1つの枝から沢山出来ますが、最終的には1個だけ、大体が自然落下しますけれども、後は人間の手で1個だけ採ります。 これが先ほどの満開から2週間ぐらい経った親指位の大きさのマンゴーです。これが大体1ヶ月ぐらい、先ほどと同じ木で、実は違いますけれども、これは1週間位前の写真です。 大体、満開から4ヶ月ぐらいで完熟マンゴーが。いま右側の方でネットを付けています。ネットに自然に落ちるものが完熟マンゴーと言います。花が上がって来たら、1本1本花を吊らなければいけない。実が上がったら、1つ1つ実を吊らないといけない。完熟が近くなれば、1つ1つネットに入れてあげなければいけない。非常に手間の掛かる果物です。少々高いですが、それだけの価値があるのかという感じです。一応ありがとうございました。 いま話をしただけでは分かり難い部分もあると思います。が、皆さん是非一度、弟子屈方面にお越しになったときには、是非立ち寄っていただければ。普通は見せませんが「ロータリーです」と言えば特別見せてもらえるように現地の者に言っておきます。実際には、人間が病気を運んで来るのであまり見せないようにはしています。でも、皆さんは行くとビックリしまして、このような坂から降りて来ると、皆さん「サテアンみたいだね」と。悪いことはしていませんが、皆さんビックリしてお帰りになります。 おかげさまで、今週の火曜日も東京からのバイヤーさんや札幌の三越さんには卸していますけれども、札幌の三越さんが改めて今回4人ほど来ました。最近は、かなりバイヤーさんが増えて少しずつ認知度が上がって来たようです。北海道は、いま私と浦臼にある神内さんと、帯広の近くでもちょっとやっていますけれども、神内さんのところが一番大きいです。 私も北海道で誰もやっていないかネットで調べたら神内さんがありました。神内さんは、ご存じのとおりプロミスの創業者であります。「あの方がやるのだからマンゴー作りは間違いない」と思い、勇気を持って始めました。先ほど言ったように2年間が空白だったので、非常に苦労をしていますけれども、今後とも頑張ってやっていきたいと思っています。 会長謝辞 マンゴー「摩周湖の夕日」の美味しそうなお話しありがとうございました。今年は、パパイヤの話も例会でお聞きし、その流れとはまた違った栽培のお話しだったと思います。パパイヤや厚岸町のウイスキーは、道東独特の気候を逆手に取った・活かした栽培ということでありますが、マンゴーに至っては本当に勇気のある決断と言いますか。高級素材だから出来るものかとある意味思いますが、如何ほどで販売しているのでしょうか。いや販売値で良いですよ。小売りの値段で結構です。マンゴーとしては高いのですか。 そうですか、やっぱり高級なのですね。先ほど、少しですけれども味見をさせていただき大変美味しくいただいたところであります。 マンゴーが出来れば他の物も挑戦すれば出来るのではと勝手に思っておりました。私も建設業を営んでいる身で、その後、建設業以降をどうしょうかと同じような悩みを抱えるひとりとして、資料を家に帰って熟読をさせていただきまして、参考にさせていただきたいと思います。 本日は、ありがとうございました。
点鐘
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