2005〜2006年度 第31回(通算2919回) 例会報告
2006.02.21
会長 石田 博司   幹事 武石 光樹   広報・会報委員長  五明正吉
会長の時間

 会 長  石 田 博 司 君


今行われているトリノでの冬季オリンピックにおいて、日本の成績はあまりよろしくない様でありますけれども、この様な国際的なイベントがある度に常々思っていたのですけれども、英語でJapanと言われる我が国は「にっぽん」なのか「にほん」なのかという事を思っておりまして、良い機会ですからいまさらなのですけれども辞書で調べましたら、広辞苑によると「古来から我が国ではこの国の事を「にほん」と「にっぽん」と二つの呼び方をしている」とありました。古いのは「にっぽん」の方だという事ですので、昔は「にっぽん」という事が多かったのですけれども、お札は「にっぽん(NIPPON)」です。国産ロケットも「にっぽん(NIPPON)」という表記がしてあります。私個人としては体質的といいますか生理的に「にっぽん」と言いたいのですけれども、世間で聞いていますとアナウンサーも「にっぽん」より「にほん」の方が多いかと。あるいは普段の時でも人が我が国の事をいう時に、僕なら、私ならここで「にっぽん」というところだけれども「にほん」という様になっている。これは「にっぽん」ではないかと思うのですけれども、どうも「にほん」の方が多く広まっているように私は感じます。昔の大日本帝国の印象があるから「にっぽん」というのが嫌なのかというのは深読みなのかと思うのですけれども、やはり「にっぽん」の方が力が入って良いのではないかというタイミングが、場面がよくあります。オリンピックの話でもいささか旧聞なのですが、この間のアテネオリンピックが終わりました時にある新聞の投書にありました。どうしてジャパンというのだと。我が国は「にっぽん」もしくは「にほん」というのがあるのに、どうして自らを、自分の事を「ジャパン」というのだろうと。それが証拠にあのときのアテネオリンピックでは「長嶋ジャパン」、それから「なでしこジャパン」、「柳本ジャパン」は皆、成績が奮わなかったではないか。対して「柔道ニッポン」、「水泳ニッポン」、もう一つ「体操ニッポン」これは成績を残している。これは大まじめにその人が書いていて、その肩書きはどのような肩書きの人が国語学者なのか、あるいは古来の言霊の研究者が居たのか、それは忘れてしまいましたけれども、それを読んだ時に思わずクスリとしてしまいまして、この人は大まじめに書いているのだろうか、それとも冗談なのかと思った事がありました。オリンピックが終わった時なのですけれども、どこかで同意する部分もあります。確かによその国ではその様に英語で言うのかと思ったりもしますけれども、その様な訳で冬期オリンピック、後半我がニッポン選手団の活躍に大いに期待したいと思っております。ありがとうございました。


   
                                             
会長の時間
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会長の時間
「耐震構造・免震構造の効果と費用」
清水建設 構造設計グループ長  横山 一智 氏

清水建設 北海道支店
 構造設計グループ長

 
 横山 義彦 氏  


清水建設北海道支店設計部の横山と申します。本日はよろしくお願い致します。私、清水建設に入社して今年でちょうど20年目です。入社以来一筋、構造設計をずっと担当して参りました。この度この様な機会を頂きまして、出来るだけ皆さんに分かりやすく免震構造をお伝え出来ればと思っておりますので、よろしくお願い致します。

 ではお話をさせて頂きたいと思います。先程石田会長様の格調高いお話の後で、泥臭い話になって申し訳無いのですけれども、しばらくの間、ご辛抱下さい。

 今日は免震構造の話をして下さいという事で用意してきたのですけれども、せっかくの機会ですから耐震偽造問題についてもお話があればと、これにつきましては私も構造設計の立場でなかなか話しにくいというところもあると言いますか、偽造の話を最初に、去年の11月17日にニュースを始めて見た時にはにわかに信じられませんでした。構造設計をしている人間としては。というのも私共一応コンサルタントを生業とする立場にありますけれども、信用が無くなった時にはもうご飯を食べていく事が出来ないという事で、その様な偽造を行ってしまうとその後はもうどうにもならなくなるというのは明白な事実でして、その様な事をする理由というのがよく分からないという感じでおりました。基本的にモラルの問題というところもあるのかも知れませんけれども、いずれにしても今回の事件はやはり犯罪行為であるという事は間違いないと思います。私共もこの様な事を良い機会として自分たちの立場をよく弁えて、その様な事が無い様に考えて行かなければならないという機会になったという様に考えております。ということで耐震偽造問題はこの辺りにさせて頂きまして、本題に入らせて頂きます。

 それで免震構造という話なのですけれども、実は私共が設計する際の構造設計のやり方というのはここに書いてある様な主に3つの方法があります。1つには耐震構造と言われるもので、これがごく一般に設計される仕方ですけれども、地震が来ても建物自身を頑丈に作ることで耐えるという、その様な作りです。続いて免震構造というのはこの絵で足下の方にゴム、何か台が描いてありますけれども、ここで揺れを吸収してしまって建物自身はあまり大きく揺れないと言いますか、力を受けない様にするというのが免震構造でございます。もう一つ、超高層建物などでは私共制震(せいしん)と呼んでいるのですけれども、各層に分散させる制震装置等を建物の中に組み込みまして、建物が揺れ始めますとそれを吸収する様に働く様な、その様なもので設計する制震構造と、主に3つの方法がある訳です。ここで耐震と免震の比較という模式的に示したものがあるのですけれども、免震というのは地面が揺れた時に地面の揺れが建物にあまり伝わらない様にするという事で右の絵なのですけれども、実際に地面が揺れてもその建物の上の方にいる人たちはあまり大きな揺れを感じない。実際には免震装置が大きく変形しているのです。でも建物の、私共では加速度と言うのですが、加速度を感じない、ゆっくりと揺れるので上の人はあまり揺れているという事を認識しないで済むというのが免震構造です。それに対して耐震構造は地面の揺れと一緒に建物も揺れてしまいますので、建物を頑丈に造っていても中で家具が倒れたり、その様な事が起こりやすいという事が分かります。この免震構造の免震装置を示したものがここにありますけれども、建物と地盤との間に何らかの円を切る機構を挟んで、建物に左右する地震力を柔らかく受け止めて揺れを軽減する構造という事です。ここの左側の写真がその免震装置です。これはゴムで出来ていますけれども、ちょうど実験で変形させている絵なのですが、高さに対して約4倍くらいまでは変形する能力があります。ここで免震装置を模式的に示すとこの様になりまして、ただゴムだけを置きますとゴムがだんだん膨らんで沈んでしまうのです。それでゴムを薄くスライスして間に鉄板を挟み込む事によって横に膨らむ量を減らす、そうすると上からの、建物の重量に対して変形量が小さくなって、横揺れには追従出来るけれども縦には縮まないといったものが出来上がる訳ですけれども、これが免震装置、私共では積層ゴムと呼んでいますけれども、という原理でございます。これがその変形状態です。先程申し上げましたけれども、これは実験でしている例なのですが、大体自分の高さの4倍くらいまでは変形しても問題ない様なゴムの性能を有するといった様に作られています。それで少し構造的な、専門的な話になるのですけれども、ではなぜ免震装置を置くと揺れが減るかという事なのですけれども、大体建物自身の揺れやすい周期というものがあるのですが、通常10階建てくらいの建物ですと周期が1秒くらいなのです。それより短い周期でかたかた揺れるというのが建物の揺れやすさなのですけれども、それに対して地面の揺れやすさも大体その当たりにある事が多いです。これは地面の地域によって異なってきますが、それに対して免震装置を入れると揺れの周期が3秒くらいに延びます。ゆっくりふわふわ揺れるのです。その様な周期にしていると地面が1秒とか2秒でかたかた揺れてもその震動が建物に入りづらいという事を模式的に示している図なのですけれども、そういった機構が免震の機構でございます。その免震装置の構成という様に書いてあります。どういう訳か車の写真が載っている訳ですが、実は車のサスペンションも似たような機構でございまして免震装置、先程柔らかいゴムを挟むというお話をしましたけれども、ゴムを挟んでもそのゴムだけですと揺れ始めるといつまでもゴムがふわふわ揺れ続けてなかなか揺れが止まらないという事がございます。そこでその揺れを納めるダンパー、車のスプリングにもショックアブソーバーが入っていまして、一度がたんと揺れてもだんだん揺れが収まってくる様な機構が入っているのですけれども、その様な柔らかいバネと振動を段々納めていくダンパーと組み合わせる事で地震の揺れをおさめていこう、地震の力を解放していこうという形でして、これはこの様な車もそうですけれども、至る所でその様な機構というのが私共の周りにあるという事でございます。そこで一般的にある方法なのですけれども、この写真の1番左にあるのが免震ゴムです。これだけだと揺れっぱなしになる可能性があるのでこれと並行して、ここに3つの主な例を書いているのですけれども、車のショックアブソーバーと同じ様なもの、空気パネもその様な物になるのかも知れません、オイルダンパーやこの様な棒鋼ダンパー、この様にねじってあるものもあるのですけれども、あれは横に動くとバネの働きでまた元に戻ろうとするというものなのですけれども、この様なものを組み合わせて、それで揺れをおさめていこうという事なのです。この棒鋼ダンパーを変形させるとどうなるかと言いますと、この様に、これがまた元に戻ろうとする。これは極端に変形させていますからすごく見えるかも知れませんけれども、普通はもう少し小さな振動で収まっています。実験ですからかなり厳しくしています。それで最近はダンパーを使わない免震装置が随分出てきていまして、使われる様になってきました。ここにある絵のうちの左側は何の変哲もない、先程の積層ゴムと同じなのですけれども、実はゴム自身にその様なダンパーの性能を持たせると、化学的に色々な成分を混ぜ合わせて減衰機能を付けた高減衰積層ゴムと呼ばれるものです。次に右側にあるものは先程真ん中に鉛の棒の写真もありましたけれども、それを免震装置の真ん中に組み込んでしまうという事でスプリングとダンパーを1つの形の中に閉じこめるというやり方でして、この仕方を使いますと装置を置く場所が柱の下だけで済むという事になりまして、比較的免震ピットを小さく出来たり、合理的な空間構成を作ることが出来るという事で、最近は割とこの様なものが使われる事が多くなってきました。ただ建物の規模やその地域の地震度の特性などによって色々と使い分けをするという事でございます。また免震装置の位置によっても色々な仕方がございまして、この様に私共では基礎免震と呼んでいますけれども1番下に置く、これが1番オーソドックスな仕方なのですが、この様に途中の階に置く様な仕方もございます。特に1階を地面と絶対に動かしたくない様ながあって連続しているという様な時にはこの様な仕方をする時もございます。色々なバリエーションがあるという事でございます。それで免震建物の棟数の推移という所に突然飛ぶのですけれども、実は免震はやはり20年ほど前から実用化されて少しずつ作られているのですけれども、神戸の地震が1つのきっかけになっておりまして、それを境に急激に地震の建物の数というのは未だに増え続けているというところでございます。また建物用途なのですけれども、1番多いのは住宅なのです。続いて事務所ビル、事務所ビルというのは主にIT関係やデータを扱う様な、免震化する事によってその中を守る重要性が高い様な事務所ビルが多い。あとは病院、最近では美術館等もこの様な装置を使って地震の被害を軽減しようという形が多くなってきております。これは私共で実験した例なのですけれども、神戸の地震と同じ規模の地震を与えた例です。ご覧下さい。免震と在来で同じ揺れを起こしたらどうなるかというところなのですけれども、免震の建物ではほとんどゆっくり揺れていましてそのまま中身も何もならない。ところが非免震ですとこの様に中身がバラバラになってしまうといったところで、建物を頑丈に造っていてもその中は免震ではない建物ではこの様な事が起こりうるという事なのです。その様な基礎的な知識を少しご紹介した上で、先程のお話にもありましたけれども、2003年十勝沖地震の事例というものを少し紹介させて下さい。この十勝沖を震源として起きた9月26日、朝の5時前に起きた地震でございます。各地の震度はこの様になっていまして、釧路町で震度6弱と大きな揺れを記録しております。これがその時の揺れの模様なのですけれども、この辺を震源として地震が起こりまして、実際この様に揺れが北海道中に伝播していったという事です。これは防災科学技術研究所がインターネット上で公開している資料をお借りしたものでございます。いつまでもこの辺が大変に揺れている、札幌も結構揺れていまして、私自身もびっくりして飛び起きたという事なのですけれども、随分長く揺れていまして、この辺りでは苫小牧で石油タンクが重大な事故を起こしたという感じです。根室のこの辺りも最後まで揺れていましたけれども、この辺もゆっくりと結構揺れているという事なのです。という事でその時の被害が、これは北海道大学の菊池先生にお借りした写真なのですけれども、あまりにセンセーショナルな写真ですけれどもこの様に天井が落ちてしまったり、釧路公立大学では建物の損傷はほとんど無かったのですけれども、この様に図書が全部落ちてしまって後片付けが大変だという事がございました。それから釧路港でも地盤が動いてこの様に亀裂が入ったり、釧路弥生中学校ではパネルが落ちてしまったり、紫雲台では墓石が倒れたと。私共では墓石が倒れると大体倒れた石の大きさやどれくらいの加速度が働いたかというのを逆に計算したり致します。釧路の中心部ではこの様に外装が落ちたり、窓ガラスが多少割れたり壊れたり、歩道が沈下したり等、色々な事が起きました。その様な中で北海道は釧路が1番地震リスクが高い場所として有名なのですけれども、2004年現在では免震建物の棟数が全部で16棟、その中でも釧路が9棟と圧倒的に数が多いという事です。大体釧路市ですと10年に1度は大きな地震が起こるという事がもう確実に来るという事が、この辺の考え方というのは当然その様な事になるのかと思いますけれども。これが釧路市北大通の免震建物、1つの例ですけれどもDoCoMoさんの建物で、信組さんの建物で、これが明治安田生命さんの建物、3棟並んでいまして、私共非常に興味深く地震の度にどうなったかと注目する所なのでございます。これはDoCoMoさんの建物なのですが、地震の後に北大の菊池先生が色々と調べた所、やはり動いた、ここに元々隙間が出来ているのですけれども、ここに土や砂が混じり込んでいたのが動いた為に外に押し出されてきたと、実際にこれくらい動いたという事なのです。ここの免震装置がLRBという先程言った中に鉛の棒が入っているタイプのものでございます。これは安田生命ビルと書いてございますけれども、今は明治安田生命ビルになっているのですか、やはりここに隙間がありまして免震で動いても地面と擦らない様になっているのですが、ここもよく見ると上が動いて中に砂利等がかんでいたのだと思うのですけれども、石に傷が付いていまして動いたというのがよく分かります。5センチメートルくらいは動いているという感じなのですけれども。釧路信組さん、これは地震の後に北大の菊池先生が中の写真を撮らせてもらったらしいのですけれども、これは全然倒れていなかったと。資産を守るのは免震という構造は非常に良いという事を示す1つの例だと思いますが、その様な事がございました。これは釧路合同庁舎の建物です。これはかなり大きな建物なのですけれども、こちらも免震があって、この様な所で縁が切れている構造になっているのです。ここで羽を出すようにして下が浮いている、ここも繋がっていますけれども、ここで変形を追従出来るような仕組みの物を持っているという感じなのですけれども、こちらは普通のゴムとこの様なダンパーを組み合わせた仕方になっております。こちらの先程言いましたけれども、基礎に持ってくるのではなく駐車場の上に持ってきていまして、一応人の入る空間に免震装置があるので、これは耐火被覆と言って火事になったときにゴムが燃えないような仕組みになってゴム自身が見えない様な形になっております。こちらも色々動いてこの辺とか地面が壊れてしまっているのですが、動いて向こうに、偶然かかっていた地面を押して倒れてしまったのだと思うのですけれども、これはよく見ると動いた後です。溜まっていたゴミを外に追いやって10センチメートルは動いたという事で、私共が免震建物を設計すると必ず近くにこの様な看板を、足下をすくわれてしまうといけませんので、地震の時にどうなるかというのは分からないのですけれども、一応この様なものを付けることにしてありますし、仕組みとしてもその様な形になっているのですけれども、実際にこの様に動くという事でございます。こうして動くことによって中の資産を安全に守るというのが免震構造だという事でございます。そこで今回テーマとして頂いている、「コストはどうなるの?」というお話なのですけれども、実はこれ、道内の某病院で免震ではない耐震構造の場合と免震構造の場合、制震と先程言いましたけれども、比較してどうなるのでしょうかという事で簡単な比較をしてみたのです。これは詳しい解析をして出した訳ではなく、経験的に大体のものを入れた訳なのですけれども、一般的な建物では大地震時ではひび割れが出たり、どんなに丈夫に作っていてもその様な事が起き、その地震の後に継続使用するには補修というものがある程度必要になってくるだろうと。それに対して免震構造は小さなひび割れが起きないという事は無いとは言えないのですけれども、何もしないでそのまま継続使用が出来るでしょうと。あとこの様な制震構造、この様なところでエネルギーを吸収する構造なのですけれども、ものすごい大地震が来たときという前提条件ですけれども、若干ひび割れが出来たりする可能性がありますがこの様な形状のものですと軽微な補修、そのまま使っていても良いのでしょうけれども使用上の問題で多少軽微な補修が必要なところもあるでしょうと、この様な3つの比較をした時に実際はどの様になりますかという事で地震状態、地震の時は過去に作用する力が100とすると免震だと半分以下になりますと、制震だと装置によって8掛けや7掛けにはなるでしょうと、建物自身が負担する地震力が100、耐震構造が100だとすると大きく低減します。各階の相関変形というのは各階がどのくらい変形するかという事なのですけれども、これは私共が設計する際に大きな指標となって、その指標を損傷のレベルを示すのに建物がどれくらい傾くかというのを計算して表すのですけれども、耐震の建物で100だとすると大体半分くらいのところまで落ち着くでしょうという様な、これはいわゆる被害が少ないでしょうという事なのです。それを指標として表すもので、損害保険の皆さんはなじみがある言葉かも知れませんけれども、PMLという数値を算出します。PMLというのはプロバブルマキシマムロスという意味なのですけれども、これは地震がきて被害が出てそれを修繕する、中身、設備、機器、その様なものも含めて修繕する費用が、まったく新しくその建物を建てるときの費用に対してどれくらいの割合になるかというのがPML値という事で、約475年に1回くらい、その地域におこる地震に対してどのくらい被害が出るかという事の指標として不動産の資産価値を査定する時なにかによく使われるのですが、このPML値がこの様な耐震構造ですと10%から15%くらいは修繕、ものすごい大地震が来ると掛かるでしょうと、それに対して免震構造は2%から5%程度、もしかしたら0%かも知れない。制震構造ですと7%から12%くらい、これも設計いかんによっては0%に近いところまでもっていく事が出来るかも知れませんけれども、比較的少なくて済みますという事で免震構造はこの様な部分では有利です。地震が来てもあとで色々修繕したり、企業継続に必要な、例えばサーバーが倒れてコンピューターの中身が壊れてしまった、それを復旧することが時間が掛かるという様な事も無くて済む可能性が非常に高いという事です。ところが皆さん非常に影響面をもっていらっしゃるのがイニシャルでどのくらい余分にお金がかかるのかという話だと思うのですけれども、この耐震構造で設計した場合を100としますと、今私共でこの様な形状の建物ですと105から120くらいでしょう。というのも、ここに一層分余分に層を作るという事で、階数がある程度あれば層の割合は低くなるかも知れないのですけれども、ここに層を一層作って、掘る土の量も増えますし、免震装置の金額も多少入るという事で、5%から20%くらいの幅で高くなる可能性があります。その様な制震構造でも設計いかんによるのですけれどもほとんど変わらないから5%から10%くらい高くなる可能性がありますというのが一般的な感じです。ただこれは具体的にはそれぞれの建物の場所や様々な要因で変わってきますので、言葉尻が曖昧になってしまうと言いますか、あまり強く言えないのですけれども、大体このくらいをお考え頂いていれば問題ないだろうと思います。これは昔作った資料でここの数字が先程と違うのではと思われるかも知れませんが、入れ替えられないのでそのまま出してしまったのですが、これが5%から10%くらい、免震関連費用として、あとは設計や国のお墨付きをもらうための検査も多少、普通の建物よりは掛かるので、設計費用も少し余分に掛かるというのもあるのですが、免震ですとイニシャルは10%前後高くなる可能性があります。ところが釧路の様にちょこちょこ地震があるような場所ですとその後の継続使用に対してはほとんど手を入れずに、しかも建物だけではなく中身もそこそこ健全性を保ったまま維持されるという事で、その様な時に掛かる費用は先程のPML値でいう指標にもよりますけれども、普通の建物ですと15%から20%くらい、新しく建てる建物に対して費用が掛かる可能性があるのですが、免震建物ですと5%内外、もっと少なく収まるだろうという事で、ライフサイクル的に建物のコストを考えると免震の有利性というのが出てくるのではないかと私共では考えております。この免震にする事で中越地震や福岡の地震もありましたけれども、現実的に免震の建物で計画されていた部分は地震後も普通に建物が使えるという意味で企業の方々の立ち上がりというのは非常に早かった。それに対して非免震で例えば工場や何かでラインが壊れてしまったという様なところですと、その補修やラインの再生に時間が掛かったりお金も掛かったり、この辺の費用が大きく掛かるという事で、免震だけが耐地震に対する方策ではないのですけれども、1つの有利性というのがこの様なところに出てきますというところです。ですから試算をしてイニシャルとこの差でライフサイクル的にコストをお考え頂ければ、免震構造というのはイニシャルでは10%内外高くなっても長い目で見れば安い物という事になる可能性が高いという様に私共は考えております。最後になりましたけれども、今まで言ったような事を簡単にまとめてみますと免震建築のメリットはもちろん安全性の向上という事があります。地震時の安全性の向上というのはもちろんですが、この機能性の維持や先程古川様もあまり大きい地震と思わなかったとおっしゃっていましたけれども、その様な気持ちの安全、安心もここで買えるという事。それから建物の中身もここで保全するという機能が非常に高いという事です。あとは設計の自由度の向上と書いてありますけれども、建物の上は地震力から解放されるので比較的耐震構造に比べると柱や梁の大きさも小さく出来るという事がありまして、空間構成に自由度が増えるといった様な事もございます。その様な事で将来性、資産価値の向上という意味で免震建築のメリットがあるのではないかという事で、今日のお話をまとめさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございます。

               



会長の時間
2 月 23 日(木) 「心臓停止!その時役立つAEDの活用法」 
釧路市救急救命本部 課長補佐    日村 義彦 氏    
会長の時間 会長の時間
本日合計 本年度累計
18.000 円 1.158.000円
日時 会員数 出席率
 2月16日 98名 66.67%