釧路公共職業安定所
次長 新居 茂樹 氏
ご紹介頂きましたハローワークの新居と申します。本日はこの様な例会の場で雇用失業情勢の話をさせて頂く機会を頂き光栄に存じます。但し残念ながら明るい話にならないのが申し訳ないところです。全国的には、今お話のあったとおり求人倍率が1倍で13年3ヶ月振りという事で紙面を賑わせていますが、お手元のハローワークレポートをご覧になって頂いても分かりますとおり、12月は0.43倍です。私共は季節調整値というのを使っていませんが、この1倍というのは季節調整値の発表です。現数値でいきますと1.03倍が現数値です。釧路、北海道、全国とそれぞれ分けて載せておりますが、ご存じのとおり仕事の数と仕事を探している人の数を割った物で一人当たり何人分の求人があるのかという指標となっております。釧路は全国の半分以下、北海道が0.54倍でございますからこの平均より下回っている厳しい状況です。この現象は12月だけに限った事ではなく、表を見て頂いても7月から前年割れの傾向が出ていまして、若干、9月に持ち直した感はありますが、ほぼこれが続いていると認識しています。主たる要因は求人数が足りないという事です。人の採用意欲が企業に無いという事を、私共企業さんを訪問して痛感しています。下の表ですがこちらは職業紹介状況の指標です。主な指標という事ですが、A欄が仕事を探している方の数、単月で見ても解りませんので右側の累計を見て頂きますと、若干増加して4.3%増加です。これに対する求人がC欄で、新規求人数の累計を見て頂きますと8.9%減少している。約1,000人分去年より少ないという事です。仕事を探している人が増えているのに求人が少ないので、その結果有効求人倍率が低下しているという事になります。後は全体的に求人が小口化していて件数はさほど減ってはいないのですが、例えば今まで3人募集していたのが1人になってしまい、景気は回復傾向ではありますが、まだ人を雇うまでにはいかないという感じになっています。続きまして2枚目に求人の採用別というのが載っています。若干増えているのが建設業、飲食、宿泊、そして大きく増加しているのが医療、福祉とそれ意外は全産業で減少している。産業の中でも健闘している会社はここにもあるのでしょうが、全体を見ると求人数でいけば、ほぼ全産業で減少しているという事です。又、表にはしていませんが、求人数の累計は12月まで9,590人ですがこの内フルタイムとパートタイムに分けて見てみますと、パートタイムが3,604人、37.5%で3分の1以上がこの求人の中でパートが占めている。仕事を探されている方の多くがフルタイムの希望で特に正社員の希望ですので、この希望と現実には仕事がパートであるというミスマッチが起きています。その下に事業主都合離職者の状況も載っていますが倒産、リストラの暗い関係の休職をされている方は減ってきています。只、より良い条件で仕事に就きたいと在職中から仕事を探す方とか家庭に入っていて、又、外に出て仕事に就いてみようという方が増えていると感じられます。この様な事で釧路地域は全国、北海道に比べ低い位置にあるという雇用条件です。景気は上向きという表現が北海道の場面でも出てきていますが、これが今、消費に向かっているというお話も聞いています。只、雇用に完全に結び付いていないと私共考えております。この状況は一般職業紹介状況という事ですが、新規学校卒業者の場面でも出ています。2枚開いて4ページ目ですが、こちらに今年の春卒業して就職を希望される方の現在12月までの状況が載っています。A欄を見て頂きますが、管内だけに絞りますと、管内での就職を希望している方が549名いらっしゃります。求人数がどの位かというとB欄の求人数の管内の欄を見ますと440名で、単純に109名が12月末現在でも足りていない。こういう中で今高校生は就職活動をせざるを得ない状況です。この様な中、私共ハローワークでは求人開拓を実施しています。何より仕事を探す人と人材を求める企業さんとの間に立ち情報提供、職業相談、職業紹介をしながら地域に密着した行政を進めたいと考えております。非常に厳しい情勢ですが余裕のある企業の皆様には何卒高校生を含めて求人のお願いをしたい。この場を借りてお願いさせて頂きたい。非常に雑ぱくで簡単ではございますが、私のお話とさせて頂きます。本日はありがとうございました。
司会
今、資料を頂きましてお話を賜ったのですが、こういう機会ですのでご質問とかハローワークさんにこの様な点はどうだろうかという事がございましたら、忌憚なくご意見いかがでしょうか。こちらのハローワークの資料の後ろに日銀の釧路支店の経済動向という事で書いていますが、野村支店長いかがでございましょうか。
野村氏
私も今、初めて詳しい資料を見させて頂いたのですが、全国的には景気回復傾向があるという事で有効求人倍率、例えば私共も新卒者の募集は今年も管内で業務職を5名採用したいので採用を掛けたのですが、逆に私共の採用の基準が大卒者と業務職もなっているので、大卒者で地元に帰る方が少なく、5名採用するのに苦労しているのが実態です。札幌の大学や管内の大学で声を掛けるのですが、例えば釧路公立大学さん、教育大学さん、帯広の畜産大学さん等で声を掛けるのですが、地元で就職される方は圧倒的に少ない感じです。まして札幌の大学で色々お話をさせて頂いても、こちらにUターンをされる方はごく僅かです。札幌で採用は出来るのですが、勤務地は釧路、帯広、道東地区になると難しく、例えば採用枠でこちらの方を見ましたら、女子の高校生は皆どうするのだろうという位、就職をされていない数があり、企業としても昔は我々や銀行さんも高卒者を採用していた時期があったのですが、この様な地方に於いては、我々企業も地方に合った形で優秀な方を採用出来る方向に考えて行かなければならないのかと思っています。是非今日は企業のトップの方も沢山いらっしゃいますのでそういう意味では就職の基準等を見直して頂ければと思います。
質問
定年延長が4月1日から段階的にスタートしますが、非常に我々企業にとっては矛盾するのが、65歳までの定年とする事により若い人達の就職を阻害する場面が現実に出てきていますが、その辺はハローワークさんがどの様に感じられているかお考えをお願い致します。
新居氏
これは法律で決められた事で65歳まで定年を延ばして下さい。という法律改正ではなく、3つの方法があり、65歳までの雇用の確保という事で定年を65歳にして頂く、もしくは定年がありましたら継続雇用制度を導入して頂き65歳まで。身分や勤務時間は企業で考えて頂いて結構ですが、意欲と能力があって希望する方が65歳まで居れる、継続雇用制度を導入して頂く。もう一つは定年制を無くして頂く、この3つのいずれかの方法で65歳までの雇用の場を確保して頂きたい。私共厚生労働省という事で労働の場面を受け持っていますが、大きく絡んでいるのが年金で、年金が退職した年齢と連動しない。この様な事が今問題になっています。欧米諸国ではリタイアした時に年金が始まるという流れになっていますが、日本の場合はまだ一律に年齢を引き上げていくとなっているので、大きくはこの年金からきていると私共は理解しています。今、高齢者と若年者の関係はどの様かといいますと、労働力人口が今後2007年、団塊の世代を境に減少していくという事も言われています。企業さんもその様な労働力が足りない時に人をといっても遅いので、今の段階からその様な年齢者の活用を図りながら新しい力も入れて頂きたいと思っています。答えにはなっていないと思いますが、ご理解頂きたいと思います。
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