釧路ロータリークラブ 国際ロータリー第2500地区 Rotary Club of Kushiro
通 算
3431回
2016-2017年度
第17回 例会報告
2016年11月17日
例 会 内 容
釧路地方気象台長講話
会長の時間
会長挨拶 木下 正明会長

本日は、釧路地方気象台・台長であります宮尾様にご講話をいただきます。どのような話が聞けるか楽しみにしております。

少しそれに関係があるのでしょうけれども、今年はやはり大きな台風が北海道へ何度も来るなど、非常に極端な災害が多くありました。JRでは、トマム~芽室の間が不通になっておりまして、本当は釧路の方は、私も含めてですけれど、大変不便な思いをされているのではないかと思いますが、「困った、困った」という話が聞かれないのは少し不思議なところでございます。これから雪が降って来て、例えば高速が通行止めなどの状態になったときのことを考えると、このままではいけないと思います。

 皆さんにはご記憶に新しいと思いますけれど、博多で急に穴が空いてしまった。あれは災害ではないのですが、あの復旧がたった1週間位で達成されまして、本当に世界各地から「日本の技術はすごい」「日本の結束力はすごい」と配信をされていますけれども、JRの開通が非常に時間がかかっていることが気になります。

道路は公共設備になろうかと思います。JRは基本的に民間会社でありますので、民間のところにどれだけ政府や地方がテコ入れするかということになりますが、これは基本的には公共の交通機関ですので、もう少し対応を早くした方が良かったかと。そうこうしていましたら、11月14日に下新得川橋に新しく橋桁がかかりまして、JRも「年内に復旧することを目指している」というお話しが出ましたので、まあまあかなと思いました。けれども、8月に起こって11月ですから、少しこれは考えた方が良いのではないか、皆さん声を上げた方が良いのではないかと思った次第でございます。

 来週は、休会でございますが、台北中央ロータリーへ行って参ります。その中で出し物をしなくてはいけないのです。われわれも時間がないということで、ズルいですけれども「ふるさと」という曲を日本語と中国語で合唱をさせていただき、最後は「会場の皆さんと一緒に」という設えにしております。どこかであったパターンだなと思っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、7月31日に台湾の子供たちが来たときに同じパターンで行ったので、なんとかなるだろうと簡単に考えております。

「ふるさと」という曲は、作詞が高野辰之、作曲が岡野貞一でございます。この2人は有名なコンビでございまして「春の小川」「もみじ」「春が来た」「おぼろ月夜」などの作詞・作曲をこのお二人でされています。岡野さんは鳥取県の出身で、私と、鳥取神社と関係があるかなと思っております。

本日は「四つのテスト」なので残念ですが、「我らの生業」という曲はこのお二人が作詞・作曲をしております。偶然、ふるさとを選びましたけれども、やはりロータリーにも関係があったということで、そのお話も向こうでできるのかなと思います。また、台北で親善を深めて参りたいと思っております。

 以上で、私の挨拶を終ります。

本日のプログラム
釧路地方気象台長講話

プログラム委員会 委員長 間崎 徹也 会員

 それでは、改めまして講師をご紹介させていただきます。釧路地方気象台・台長、宮尾孝様は、1959年広島県生まれでございます。気象大学校を卒業後、函館海洋気象台、気象庁、舞鶴海洋気象台、気象研究所に勤務とのことです。キャリアの大半を観測船に乗り込んでの海洋観測に携わる職場で過ごされたそうです。

 2016年4月より現職。専門分野は、海水・雨水の化学分析、気候変動や海洋汚染の話題も少々。ということで、絵画や音楽鑑賞が趣味で、犬とバラを愛する57歳でございます。

講演題目は『気候変動・温暖化と海洋』でございます。

では、宮尾台長よろしくお願いいたします。

 

 『気候変動・温暖化と海洋』

釧路地方気象台 台長 宮尾 孝 様

 宮尾でございます。上着をとったままで失礼させていただきます。本日お話しするのは『気候変動・温暖化と海洋』というタイトルです。道東周辺で、日本で、そして地球全体で、起こっている気温上昇についてまずご紹介をします。そして、海が、人間が石油や石炭を燃やして二酸化炭素をいっぱい排出をしましたけれども、それをたくさん海が溶かしているということ。そして、熱エネルギーも海がたくさん引き受けているということをご紹介します。最後に、そのようなことに伴って起こった海洋の変化と環境問題をわれわれはどのように捉えようかという考え方について少しご紹介したいと思います。

 

 まず、『気候変動・地球温暖化』という言葉の使い方をおさらいしようと思います。気候が変動するその気候というのは、毎日の気温や降水量などをある程度の長期間平均したもののことを「気候」と呼んでおります。特に30年の平均をとったものを「平年値」と申します。毎年・毎年、更新していくことは面倒なので、10年ごとに更新をしていきます。ですから、いま「釧路の平年気温は」と言っていることは、1981年~2010年までの平均値をとったものを使っています。この気候は、自然に変わるというだけでなく、人為的な要因でも変わっていきます。

 一方の地球温暖化というのは、気候変動のうちでも、人為的に放出された温室効果ガス、二酸化炭素・一酸化二窒素・メタンなどがありますけれども、この温室効果ガスの濃度が上昇したことによって地球全体で見たときに気温や水温が上がっている、しかも長期的に上がっているということでございます。自然の要因だけで説明できない部分のことを言います。地球の気候が、生物が暮らすのに適しているということは、もともと温暖であったということですので、それとは違う別の話であります。大都市でいま、アスファルトやコンクリートなどが非常に暖まり易いということで、冷暖房で排出される熱、これで「ヒートアイランド」という現象が起こっていますが、これともまた別な話でございます。

 

 早速ですが、年平均気温が釧路でどのように変わって来たかというものをお見せしています。1880年~2020年までの横軸、これが年です。毎年の平均気温がものすごく大きく上下していることがお分かりいただけると思います。年々の変化というのは結構大きいのです。でも、「太陽黒点の周期が11年で変動する」と言われていますので、太陽エネルギーの与え方が変わったらどうなるかということを消去するためには、11年ある年の前5年と後5年その値を含めて11年の平均をとってつなげたものがこの青い線です。だから太陽エネルギーの変化は含まれていないと思って良いです。そうすると、わりと平らなところがある。でも、ここは急に上昇しているというように見えるかと思います。

そこで、エイヤーと線を引いてやりますと100年当たり1.69度、およそ1.7度上がっている。100年のうちに1.7度上がっているという上昇率で変わっていることが分かります。

これを先ほど言いました。平年値がどう変わって行ったかという見方をして、30年ごとに赤い線を入れてあるのですけれども、平年値というものも、先ほどは直線でバーンと示しましたけれども段々と上がっていることがお分かりいただけると思います。これが、1891年~1920年までの間は4.7度という平均気温であったものが、いまや6.2度でございます。いま使っている平年値は6.2度です。これだけ上がったのです。つまり、これは地球温暖化と言われているものの一側面をもしかしたら見ているかもしれない。100%そうだと言い切る訳には行きませんが、その可能性は非常に高いのです。

北日本ですけれども、釧路を含めて、道東を含めた北日本は、同じ緯度であれば日本海側が温暖です。これは、海面水温の衛星写真などを元にして合成して作ったものですけれども、2007年4月20日のものです。4月頃といいますと、親潮が最も南側まで下がって行くという時期ですけれども、この時に撮ったのがこの画です。日本海側の方が温度の高い部分が北まで広がっています。ということで、気象庁も観測点が結構あるので、ほぼ同緯度の地点を設けて見ました。太平洋側は釧路・宮古・気仙沼・小名浜と、日本海側は寿都・秋田・酒田・越後高田です。このようにとっていきますと、対馬暖流に洗われている日本海側の方が親潮の水がやって来る太平洋側よりも年平均気温で見て高いです。どの地点でも、上の段が1971年~2000年まで、つまり、いま使っている平年値の前の平年値ですけれども、それと比べたらどの地点でも気温が上がっていることがお分かりいただけると思います。どの地点も平年値が高くなっています。

ついでながらですけれども、海のおかげでどのような影響があるかということをお話ししたいので、今年の夏、「釧路沖に暖水の渦があって」というお話をよく耳にされたかと思います。暖水塊いうものは、黒潮の方にあった水がちぎれて三陸沖の海を北上して来て、やがて道東・千島列島沖と去って行くというものですけれども、気象庁の定義では、親潮は、太平洋側で深さ100mの所の水温が5度以下の領域、そのように便宜的に定義して面積などの変化を追っている訳ですけれども、その中に100mで8度台というような比較的温かい水、これは海面ですと、上は50mの深さがありますけれども海面ですと10数度という温度になります。台風が発達をするためには、海面水温が27度以上あることが必要と言われます。ですから、それよりも海面水温の低いところに台風がやって来ると徐々に衰えていく訳ですけれども、これが段々東進して行って、ズレて行ったものをお見せしますけれども、このズレる前のこの状態のときに台風が連続で接近あるいは上陸をした訳でございます。今年の台風の衰弱をもしかしたらこの暖水海が遅らせてしまったという可能性も無いとは言えないと思っております。ただ、どのくらい影響があったかという評価の仕方がとても難しいので、私も手を出してはおりません。

さて、話は続きますけれども、道東というのは、フランス南部のマルセイユやニースとほぼ同緯度にあるので、ニースの気温を見てみましょう。そうしますと、年平均気温が何と15.6度もあります。一番寒い1月でも8度位はあります。さらに北のアイルランドのコークという街があります。ここの気温を見てみます。北緯52度位にある街ですけれども、年平均で9.9度です。この「Cfb」と書いてあるものは、Cが“温帯”であることを表し、fが“湿潤”、雨はわりとたくさん降りますということです。こちらのCは“温帯”で、sは夏に雨が少ないのが特徴、ということを示しているので、どちらも温帯気候です。ところが釧路は、このニースとほぼ同じ緯度にあるにも関わらず、年平均の気温が6.2度で、「Dfbと書いてあります。Dとは“冷帯気候”です。北にあるコークの方が、気温が高い。これは、日本でしたら太平洋側に黒潮という温かい水の流れがあります。大西洋でそれに相当する流れというものが「ガルフ・ストリーム」、メキシコ湾流という名前でご存じかも知れませんけれども、その水があり、この大西洋の北部まで温かく塩気の多い水をたくさん運んでいる。その水があるおかげでアイルランドはこのような温暖な気候となる訳です。海の影響が非常に大きいことをお分かりいただけるかと思います。

 また年平均気温に戻りますけれども、先ほどは釧路を見ました。今度は、日本全体ではどうだろうかというものがこのグラフです。先ほどは、気温がそのまま露骨に出ていましたけれど、今度は、日本の平均気温はどのように出すかという疑問をお持ちになるかと思います。こちらに、選ばれた15地点。長い間観測が続いていてデータがあり、あまり都市化が進んでいないということで選ばれたものです。北海道からは、網走・根室・寿都ですからオホーツク海側・太平洋側・日本海側がそれぞれ選ばれていて地域的なバラ付きもあまりないように選んであります。そこの平年気温との差というものを拾い出して、その平年気温との差をさらに平均したものがこのグラフです。ですから、この0.0のところに赤線が引っ張ってありますけれども、平年値であればこの線の上に乗ります。これを見ましたら、100年間で1.2度位上がっているという上昇率がやはりここでも見えています。都市化があまり進んでいないという所でも、このような温暖化が進んでいるという状況が分かります。

さらに、今度は世界中で見たらどうなるかというお話しですが、これも日本の15地点と同じように、各地の平年値からのズレというものを取って平均したものですが、これは100年間で0.7度位上がっているという上昇率になります。特に、南半球よりも北半球の上昇率が高い。陸地は、北半球に大分偏っていますので、陸の方がたくさん暖まっているというような傾向が見られます。これは、SHで南半球のことですけれども、南半球ではここの数値が0.68だが北半球では0.75であるということです。北半球のほうが暖かくなるのが進んでいる。

気温の上昇率、先ほどこの数字を見てみますと、世界は0.7で、道東は1.6度位上がっているということで大きかったです。世界よりも日本、日本よりも道東域、という順序で大きくなっています。

これを別の見方をしますと、これは気象庁のウェブページで見られるところなのですが、年平均気温の長期変化傾向。1891年~2015年までの間に「10年あたり何度上がったか」という上昇率を赤丸で示してあります。北半球の陸地の上に赤いものが散らばっています。しかも、北の方のわりと寒いであろうと思われる場所の方が赤くなっています。特に、このデータの取り方は、1979年からというように、最近に限って見ると、先ほどと同じ10年あたりの上昇率ですけれど、色が濃くなっていることがお分かりですよね。最近になって温暖化の進み方が激しくなっているというように、このことから言われている訳です。特に、北半球の北側の方ほど暖かくなっているのですけれども、日本付近、南側よりもさらに北日本の方が赤い丸が付いていることがお分かりいただけるでしょうか。このようなことで世界の中でも日本の北日本、この辺は暖かくなる程度が激しかった領域に属しているのです。

 

では、最近1891年以降というものばかりを見ましたけれども、西暦500年以降の気温がどうだったかをこのグラフにNASAのデータベースからとって来ました。1800年代半ばくらいまで、つまり産業革命の始まったのが1750年頃とされていますから、産業革命の蒸気機関とか石炭を掘って燃やしてその熱を使って機械を動かす、そのようなことを始めたのが1800年代半ばなので、それから先がどうなっているかがこの青い線です。

この青い線ところは、温度計を人間が使って直接計った気温のデータがあるところ。その前の薄い緑で示している線が、ここで氷が何月何日に初めて張りましたなどの情報、あるいは池の底に沈んでいる堆積物を取って来て、その堆積物に含まれているいろいろな生物の痕跡などを解析して推定した温度です。これも平年値との差で示してあるのですが、この緑の線のところには、見え難いかも知れませんがうっすらと影がついています。温度計を使ったものではないですから推定値の幅が非常に大きいです。その幅を持ったものに影がついています。そうすると、この幅を持った影ということを考えると、最近の青い線の上昇幅は、過去にもこの幅の変動を経験したかも分かりませんが、この短期間で急に上がっているということは、この西暦500年以降では恐らく経験がないであろうとそのように考える訳です。だから、「温暖化は、本当は進んでいないのではないか」とおっしゃる方の中には「過去にこれ位の温度上昇はあったでしょ」ということをよくおっしゃるのですが、これだけ急に起こったということは珍しいのではないか。経験がなかったのではないかと考えるのが普通です。

さらに、人間だったらどうだということを忘れて、地球の歴史の中でどうかということで、氷河期まで含むように65万年前までというグラフをお見せします。下の方に分かり難くい「デルタ D」や「デルタ Oの18」というものがありますけれども、これは水を作っているH₂Oの分子の中の「D」とは「デューテリウム」と言って二重水素・重水素です。普通の水素は陽子1個の周りを原子が回っているというモデルで表されますが、陽子と中性子がくっついて重さが2倍になっている、それが「デューテリウム」です。普通の水素Hの変わりにこのDが入った重い水分子ができると蒸発し難くて、できるだけ凍っていようとします。人間でも体重が重い方は、どっしりと構えていらしてなかなか動かないですけれども、そのように重たい水は動きにくくなる。酸素も普通の酸素は16という原子量を持っていますが、中性子が2個多くて18という重さを持った酸素があります。これを持って来るとやはりいったん氷になったら動かないなどの性質があります。これを分析して気温が上がったときに上向きにシフトするようなグラフを作ってあります。実際に何度上がったというものではなく、重水素がどれだけあるかという割合の変化。こちらは「酸素18」がどれだけ含まれているかという割合の変化ですけれども、温かくなったときに氷が増えていると思うのではなく、これは縦軸に正負が逆についているので、気温が上がったときに氷が減っているというものが上向きになるようになっています。こうして見ますと、実は灰色の影を付けた所が間氷期、つまりこの間、白い所は氷河期です。氷河期から間氷期へ移った所で、CO₂“二酸化炭素”です。CH₄“メタン”です。N₂O“一酸化二窒素”。このようなものの濃度が上がっていることが分かります。

気温が高い時期は、二酸化炭素の濃度が上がっています。原因と結果は、どっちがどっちになっているかこれだけでは分かりません。対応しているということしか分かりません。このようなことを見て「気温が高い時期に二酸化炭素が多くなることは、地球が過去に経験をしているではないか」というご意見もありますが、右上の星をご覧ください。いま、最新のIPCCの報告は第5次の報告が出ていますけれども、2007年の第4次の報告ですから少し濃度は低いですが「いま二酸化炭素の濃度はこの星の所にあります」と主張している訳です。過去に見たのは270などの値が最高でしたが370です。後でご紹介しますけれども、いま大気中のCO₂濃度は400ppmを超しております。ですから、この条件になったことはないのです。気温が上がったことに対応をしてCO₂が増えたという経験はありますけれども、このCO₂濃度であるという経験はないのです。

 

ここからは『気候のシステム』ということで、海とのつながりをご紹介していこうと思います。気候システムというのは、太陽から出る光のエネルギーを熱に変えて、それで動いていきます。私たちが暮らしている地上全体、これが気候システムと思っていただいて結構です。この中で、いろいろなものが相互作用を持っています。陸と海、海と大気、このような相互作用があります。生物も、この気候システムをひとつ形作っているものです。植物があれば光合成をしますから二酸化炭素を食っちゃいます。そのような作用があるので、大気の状態を変えるということで気候システムのひとつです。火山がボーンと噴火をしますと、ピナツボ火山などが有名ですけれども空気中に火山灰・エアロゾルをまき散らして太陽の日射を遮ってしまうという作用があるのでこれも気候を形作るひとつのものです。

最近では、熊本県で大きな地震がありました。地面の至る所が崩れて大変なことになっておりますけれども、あのようなことを契機にして人間が土地を利用するそのやり方が変わる。土地の利用の仕方が変わるとしたら、それはまた植物を切り倒して開拓をしたなどにつながりますけれども、土地の使い方が変わると、例えば、これまで草原であったところが、アスファルトが敷いてあったと言ったら温度の上がり方がたちまち変わります。

ということで、人為的影響まで含めて、非常に複雑な絡みを持っております。という訳で、水温を上げるような何かの要因がひとつあったら、他の所でそれを逆に下げようとする力が働くこともあります。例えば、いったん、何かの拍子に雪がたくさん降って真っ白な地面になってしまったとすると太陽の光をどんどん反射してしまうので、暖まり難くなります。雪が降って寒くなったら、さらに暖まり難くなるというような作用があるので、このような「正のフィードバック」というものもあります。ですからその全体に熱がたまるということはご承知いただきたいのですけれども、「これが原因で1度上がる」「これが原因で1度上がる」。では、「足して2度上がるか」と言えばそうはならないシステムだとご理解ください。この中で大事なことは、水がエネルギーと物質を運ぶ役割を果たしているということです。この矢印はいろいろありますけれども、水は非常に大きな役割を果たしています。

その水が地球上にどれくらいあるかというのをアメリカ地質調査所がこのような面白い絵にしてくれました。海の水を全部集めたらこれ位の大きさです。この小さいものは、しょっぱくない水です。フレッシュウォーター・淡水です。さらに、この小さいものが見えますでしょうか。もっと小さなものがありますけれども、これが、私たちが使える場所にある水です。これはイメージだけなので、どこにあるかということを表とグラフでお見せしようと思います。

まず、表ですけれども、このようになっています。海は、とても水がたくさんあり、地球上の96.5%の水は海にあります。地球全体の水の96.5%はオーシャン・海にありますけれども、他にも塩湖や地下水、これは「かん水」と書いてありますが塩水のことです。このような形でフレッシュウォーターではない水が圧倒的に多い。わずか2.5%しか淡水は存在しません。その2.5%の内訳を見ると、ここが氷河・氷床です。南極・グリーンランド、このような所にある大氷河・氷床ということで、氷になって動かない水です。「すぐに使え」と言っても使えません。そしてもうひとつは、グランドウォーターと書いてあります。地下水です。せっかくある淡水ですけれど地下水、ここにたくさんある。われわれが使える場所にある水はごくわずかです。しかも、それは使える場所にはあるけれども、グラウンドアイスランド・パーマネントフローストですからこの永久凍土の部分です。地面の中で凍結していて使えません。本当に使える水は少ないということがお分かりいただけるかと思います。

大気には、わずか0.0009%位しか入っていません。が、なぜあのようにそこら中で大雨が降るのでしょう。それは、この下の図を見ていただければ分かります。すごく激しい勢いで水が循環しているからです。私たちは、水を必要とした生活をしますけれども、手を洗ったらその水は流れて行きます。飲んだ水も翌日までには体から排出されます。ということで、水は通過すれば良いのです。その場にずっと止まってくれなくても、われわれは使える水が欲しいのですからこうして循環をして流れて行って、また海へ戻って蒸発をしてお空から雲をつくって、雨になってということを繰り返す。このサイクルが早く回ってくれれば使う水はたっぷりあることになります。ほんの少ししかないような水だと紹介をしましたけれども、循環をするスピードが速いことによって私たちの生活を支えてくれています。

この大気に含まれている水ですが、これは水蒸気の形です。水蒸気というのは、温室効果を持っている気体の中で一番影響が大きい。「えっ、温室効果ガスがどうのこうのというとき水蒸気は出て来ないよ」と。それはなぜかというと、これは、水蒸気は私たちが「よーし、減らしてやろう」といって室内の加湿器や乾燥機などのレベルではできますけれども、地球全体の水蒸気量をコントロールすることはできないのです。ですから「温室効果気体が」というときには、水蒸気は取り除いて考える。地球は、この水蒸気が温室効果気体になることによって生命を育むことができる温度にこれまでずっと保たれて来ました。

その水蒸気ではない温室効果気体の濃度が最近どう変わっているかという過去2000年ほどの間の変動ですけれども、これも2007年の報告から出たグラフが大変分かり易かったので、持って来ました。いわゆる産業革命以前は、280ppm前後でした。最後の間氷期の中で私たちは暮らしていますけれども、その平均的な二酸化炭素濃度は280でした。いまはどうでしょうか。産業革命以降、石炭を掘って使い、石油をくみ上げては使い、と地球が地質年代の間、それこそ億年の単位で考えなければいけない間に地下へ全部ためて置いてくれた炭素を掘り出して来て、燃やして、大気の中に人間が出したのです。それでこの濃度になりました。

この濃度増加を地球の全体で一様ではありませんので、緯度別に調べたものがこのグラフです。これも気象庁のページで見ることができます。このグラフの見方は、手前が南側で、向こう側、奥の方へ行くほど北極側です。カーペットのようになっているものが上に行くほど濃度が高い。そして濃度が高い所は赤い色になっています。右へ行くほど年が経っています。ずっと濃度が上昇し続けていることと、赤道を挟んで山と谷が入れ替わっていることも見ていただけるかと思います。これは、南北半球で季節が逆に進むので、植物の活動が盛んで光合成をたくさんやってくれるときにはCO₂を減らす向き。そして冬になると今度は、人間も一生懸命燃料を燃やして暖を取ろうとする影響もありまして、季節変化をします。冬に高くなり、夏に下がる、このようになっていますが、真っ赤っ赤から若干超えた紫色の400を超えているというものが見られると思います。

 この二酸化炭素をまず置いといて、海は大量の熱をためて来たということを先に紹介しようと思います。1971年~2010年の40年間のグラフを示してあります。地球システム全体で274×10の21乗ジュール。ジュールという単位もよく分からないだろうし、「10の21乗って何だ」ということですが、10の21乗とは、1の後に0を21個付けたそれだけの桁数のことです。それだけの大量の熱エネルギーを地球システムが持ってしまいましたけれども、そのうちの93%は海が引き受けました。しかも、その大半の64%に当たる部分は、われわれは表層というものを1,000mまでを言いますが、海面から700m位までの深さまでのところの表層の水に引き受けてもらいました。示してあるように、この濃い紫に見えるところは700mよりも深い海ですけれども、ここに29%が入った。大気はこの色ですけれども見えないですよね。ちょっとしか引き受けていない。大気が引き受けた熱はほんのわずかです。海に引き受けてもらった熱量で大気を温めたらどうなるかということですが、この175×10の21乗ジュールというもので大気の温度を上げようとしますと、大気の温度を1度変えるには5×21乗ジュールしか必要がないので、単純に計算をすると、「海面から700mまでの厚さの水が地球の気温を35度まで上昇させるだけの熱を引き受けてくれた」ということをここで主張しています。実際に大気は温度が上がると、水蒸気をたくさん持つことができるようになるので、これだけの温度が上がる訳ではないですけれども、普通に考えると海がなければとんでもない気温の上がり方になっていたということになります。

これだけたくさんの熱を引き受けたのですから水が温まると膨張します。ということで海面水位が上がって来ます。これは、最新の第5次の報告に出たグラフですけれども、1900年~2000年までというつまり20世紀ですけれども、これを通じて年間1.7mm位ずつ海面の水位が上昇をして来たと言われます。1.7mmと言ったら、たいしたことがないように聞えますけれども、積もり積もってこれだけです。この指で私がこうやったくらいの幅、これだけ上がりました。もし、すぐそこが海だという所に住んでいる方が、自分の土地がこれだけの高さが下がるとしたら、ちょっと辛いものがありますよね。

そうなのです。これだけ積もり積もって水位が上がって来ますと、これまで何でもなかった南の島がやがて海岸が浸食され住む場所がなくなるなど。日本も海抜0m地帯という所がよく住宅地として使われていますけれどもそのような所もピンチです。そして、悪いことにさらに1993年~というようなとり方をして見ると「年間3.2mmという割合で上昇しているのではないか」という見積りも示されています。大変なピンチです。

海面水温の上昇のうちの大半は、先ほど言いました熱を引き受けたことによる熱膨張で説明ができます。あと海面水位を上げるとしたら、気温が高くなったことによって南極やグリーンランドの陸の上にある氷が溶けて海に入って行くということが考えられます。北極に浮かんでいる氷は、海にあった水がそのまま凍ったものですので、もう一度溶けても水位を上げることはないですけれども、いま陸上にある南極やグリーンランドの氷河の氷これが溶けると海面水位を上げる要素になります。

 

今度は、先ほどの二酸化炭素に戻ります。人為起源の二酸化炭素というものは、先ほど言った石油・石炭を掘り出して来て燃やして大気中に放出したもののことです。これがどこで一番たくさん海へ入ったかと言えば、この辺が赤いですよね。これの見方です。モルというのは物質の量で、㎡当たりになっています。これは、海の底に1m×1mの風呂敷を広げて、その上に海面まで乗っかっている水の柱を考えていただいて、その中に二酸化炭素が「何モル」というモル数で表していますけれども、物質の量がどれだけ入っているかということを表したグラフなのです。このように、ガルフ・ストリームで温かくて塩がたくさん含まれている水が大西洋の北部へ運ばれ、冬季に冷やされて重くなって沈み込み、たくさんのCO₂を深層に運びます。

日本海も少々色が付いているということです。日本海も冬の寒い時期に深層水を作りますので、日本海も多少のCO₂を引き受けています。

海洋は、人為起源のCO₂の3割くらいは吸収していると言われています。ですから、温室効果気体を吸収することによって温室効果の強まり方を押さえてくれているのです。熱も引き受けて、温室効果気体も引き受けて、という海洋の役割です。この役割を気象庁はずっと観測船で追っかけ続けています。東経137度線を赤道付近まで南下しながら観測をしますけれども、これをもう50年位続けています。特に1980年代半ば頃からはCO₂の観測も行っています。この結果、まだ大気中の濃度の方が高いというので、海がいまだにCO₂の吸収を続けているのですが、まだ弱アルカリ性の水ですけれども、やがて炭酸ということで、H+を出して酸性になっていくであろうと考えられています。

これは見ていただくだけで良いですけれども、海はこのように熱を引き受け、二酸化炭素を引き受けるということで大変なピンチを迎えております。海洋の環境をとても大事にしていかなければいけないのですが、辛い状況になっています。

 

私がどうしても言いたいことがひとつあるので、これだけ言います。安定した気候というものは資源。それが枯渇しようとしているということを頭の片隅に置いていただければ大変嬉しく思います。

つたない話でございました。以上でございます。

(点鐘)

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